今日マーカプナナミーの日に因んで、智慧と信仰を増すため、そして仏教教団員のみなさんが精進努力して、すべての動物の拠り所である教祖の宗教で発展するように、時間まで説法させて頂きます。今日はマーカプナナミーの日なので、このような日は仏教教団員にとってどう重要なのかを理解しなければなりません。
初めの項目は、マーカ（三月）の満月の日、あるいは弥生の望月の日は、太陰暦で数えています。つまりお月様を基準にしているので、お月様がいろんな星座の中を進行するのを数え、お月様がマーカという星座の中で満ちる日を「マーカの満月の日」、あるいは「マーカプナナミー」と言います。仏教教団員は太陰暦を好んで用いるので、マーカの月の満月を重要な日と見なします。
太陽暦で数えれば二月ですが、いつと確定できません。月を基準にしていないので、満月がいつも同じ日でないからです。だから仏教教団員は太陽暦で満月を知ることはできません。このように太陰暦を用いて月を基準に数えるのは、すべて太陰暦を基準にしている仏教と仏教教団員の伝統習慣です。だから私たちは太陰暦によっていつでも満月を知ることができます。
一方、他の仏教教団は太陽暦を使って、自分たちで適当な月を当てているかも知れません。もしそうなら日の数え方が違ってしまい、満月の日にならないので、タイのようにテーラワーダの仏教教団としては認めることはできません。つまり私たちタイでは、マーカプナナミーの日をこのような原則で捉えています。
確認しなければならないのは、なぜこの日が仏教で重要な日かという問題です。マーカの満月が重要な日になったのは、広く知られているように、この日に、偶然大勢の阿羅漢（千二百五十人）が一堂に集まり、ブッダが仏教の重要な教えであるオヴァータパーティモッカ（戒律についての説教）をなさったからです。
もう一つ、ブッダが最後の年に、三ヶ月後に肉体が滅亡すると悟り、涅槃の日を決めたことです。だからチャータロカサンニパータ(四部集合）と呼ばれる阿羅漢が集まった日であることが一つ、ブッダが余命を悟って涅槃の日を決めたことが一つ。この二つで、どう捉えたら良いかを熟慮するには十分でしょう。
初めにチャータロカサンニパータ(四部集合）が重要なのは、大勢の阿羅漢方が集まったことと、説教した話が、人を阿羅漢にする教えだったという点です。だから阿羅漢であることはどう重要か、私たちとどんな関係があるかなどについて、これから判断しなければなりません。余命の予告をなさったことも、そうできる、あるいはそうあるべき阿羅漢の有りようの一つとしてお話します。だから阿羅漢とはどんなものかという一つの問題と考えることができます。
阿羅漢の話を完璧に正しく知ることができれば、マーカブーチャーの日について完璧に知ったと見なします。阿羅漢の話を理解するのに、言葉や経の中の話だけで考えると簡単ではありません。一回だけ聞いた人には、ほとんど利益はありません。しっかり勉強し、熟慮検討しなければならないからです。
だから今日のような機会に、阿羅漢はどのようか、一般の人が分かるように、一緒に考えることができます。阿羅漢の方たちが約束もないのに集まった日がいつだったか、というようなことは「阿羅漢はどのようか」ほど重要ではありません。だからみなさん、直接阿羅漢について興味をもってください。そしてその後、できるだけ自分たちの役に立てください。
阿羅漢とはどんな人かと問うなら「阿羅漢とはすべての苦の上にいる人」と言うことができます。私たちとどんな関係があるのかと言えば、阿羅漢の方たちはすべての苦の上にいる時、私たちは全員苦の下にいるということです。
なぜ関心を持たなければならないかという問題は、その人が何を望んでいるかによって違います。今まで通りすべての苦の下にいたい人は、阿羅漢に興味をもたなくても結構です。そうすればそういう人にふさわしく、すべての苦を確実に手にすることができます。
しかしそれらの苦を軽減して苦の上に行きたい人は、当然興味を持たなければなりません。そして苦を絶滅させたい人、あるいはせっかく生まれたのだから、人間が得るべき最高の物を得たいと考える人は、普通の興味以上に、もっと特別な関心を持たなければなりません。
だからこの種の人は、他の問題より阿羅漢について関心があり、自分が得るべき利益を本当に十分得ます。人が生まれて、苦の下にいなければならないか、あるいは苦の上にいくかという項目は、最も重要な問題と見なします。
しかし一部の人は生まれて来てくじけ、自分のような者、あるいは普通の人間は苦の上には行けないと落胆し、興味を持ちません。不可能なことと捉えてしまうのは、正しくしようとしない、素直になろうとしないその人の罪であり、カンマのせいです。もっと凄いのは、苦を望んだり、目を輝かせて苦に堪える人もいます。
しかしある人たちは「不可能なはずはない。もし不可能ならブッダに利益はない。ブッダがこの世に生まれたのは、世界の動物を救うためなのだから、この世界の動物がブッダの教えを実践して後を追うことは不可能ではない」と考えます。
そしてもう一つは、ブッダはサンマーサンブッダと捉えらえます。つまり自分自身で最高に悟った人です。すべての知るべきことを悟った人をサンマーサンブッダと呼びます。すべてを最高に悟ることです。ブッダは、人間に不可能ではないタンマを説かれました。ブッダは最高に賢く、すべてを知っているので、多くの人間が理解できる形でタンマを説くことができました。
だからブッダが説いたタンマは、決して不可能なものではありません。こう考えれば興味が出始め、ブッダの教えであるプラタムを知り、理解しようと努力し、それなりの結果がでるまで実践する気になります。これを、人間に生まれ仏教教団員に生まれたことを無駄にしない、と言います。
しかし更に広く言えば、仏教教団員でも仏教教団員でなくても、同じ滅苦であり、苦を消滅させるのも同じです。ブッダが大悟して教えたことは、自然の普遍的なことだからです。
つまりブッダは、すべての人間がそうである、自然の真実を話しました。勝手に言ったのでもなく、一部の人々だけに言ったのでもありません。すべての物の真実として話しました。この世界のすべての人間ばかりか、天国の天人や梵天も同じ教えで、もっと低い地獄の動物、餓鬼や畜生、阿修羅などが自分を苦から脱出させるにも、同じ規則があります。
だから、サンマーサンブッダの教えを学ぶことは、例外なくすべての人にとって正しいことであり、非常にしなければならないことと言うことができます。しかし誤解して、いろんな方向へ寄り道してしまう人がいるのは、その人自身のカンマと見なすので、どうしようもありません。だからこそ罪やカンマが厚くない人々、つまりろくでなしでなく、自分を苦から救うにふさわしい人、そうするべき人にだけ話さなければなりません。
苦を完全に消滅させる話は阿羅漢の話です。そして苦を残らず消滅させることができた人が、阿羅漢と呼ばれる人たちです。だから苦を消滅させるのが好きな人は、それ以外の話はないので、阿羅漢の話に興味を持たなければなりません。
阿羅漢の話は直接苦を滅す話というのは、誰かが決めたり、勝手に言ったのでなく、そのようになっています。つまり滅苦の真実について熟知し、実践して完全に苦を消滅させた人は苦を脱した人であり、敬意を込めて阿羅漢と呼ぶようになりました。ある意味有り難く神聖に聞こえるので、神聖で有り難い物の方向の人気が生れます。これも阿羅漢に関しての誤解です。
その人は心を平常にして苦を知り、苦を恐れることを知り、苦に嫌気が差し、そしてその苦を消滅させる努力をしました。阿羅漢になったか、ならないかという問題には関心を寄せないでください。完全に苦が消滅すれば、阿羅漢になったか、ならないかは問題ではありません。事実を言えば、当然本当の阿羅漢なので、その人にとっては考える必要がない、時間の無駄です。
考えれば考えるほど執着が生まれ、迷いと渇望で阿羅漢になりたいと思っても、野望があるので阿羅漢になれないからです。期待すればするほど阿羅漢にはなれません。だから期待をすべて止めてしまえば、期待しなくても、自然に阿羅漢になれます。
期待するなら滅苦を期待します。苦を滅したいという期待は執着になりません。預流、一来、不還、阿羅漢のように、聞いてなりたくなる、神聖で有り難い言葉ではないからです。
これらの言葉は、なりたがる崇高な物に見えるよう、悪知恵をつけられてしまったので、なお更阿羅漢になれません。身勝手で自分のことしか考えない願望だからです。それが本当はどのようかという知識も理解もなく、ただ惑溺だけで聖人になりたいと大それたことを考え、終いには狂って治らない人もいます。これが十分に知識のない人の阿羅漢等になり欲望で、執着の基盤になるので危険です。
もう一方の「苦を滅したい」は危険ではありません。これは執着の基盤になりません。本当に苦があり、そして滅苦を願い、期待して望めば、少しずつ苦を減らす努力をするので、誤解する物がないからです。あるいは神聖な物と間違って執着するものはありません。
だから正しく経過し、徐々に苦が減り、最後にはすっかり消滅し、苦の上にいる人になります。あるいは綺麗な呼び方をすれば、阿羅漢になることができます。そこまでいかなくても、人間に生まれて仏教に出合ったことにふさわしく、苦の薄い人、苦の少ない人になれます。愚かで騙され易い人、心にタンマの灯火がない人のように、めいっぱい苦はありません。
要するに、人間を阿羅漢にするタンマと関わるには、阿羅漢になることへの執着で関わらず、滅苦をする固い決意で関わるか、本当に自分の苦を攻撃すれば、執着の基盤でなく、名誉や名声への憧れや惑溺の基盤でもないので、すべてが上手くいきます。つまり毎日少しずつ自分の苦を消滅させることができます。
いろんな症状があり、一気に阿羅漢になりたいなどという寝惚けた望みでしません。そうした望みは間違っているので、誰も望みを叶えた人はいません。
阿羅漢である人は自惚れず、自分を捉えないので、自分が阿羅漢ということは重要ではありません。阿羅漢でない人が持ち上げたり賞賛したり、阿羅漢の代わりに、阿羅漢であることに満足します。普通の人はあれになりたい、これになりたいという気持があり、すべての人より上に、最高になりたいという気持があるので、阿羅漢の阿羅漢であることに得意になります。
阿羅漢自身は、自分が阿羅漢であることに何も感じず、得意にも思わないのに、彼らは自分自身のではない、阿羅漢が阿羅漢であることに迷って褒めちぎり、得意になります。阿羅漢である人と阿羅漢でない人はどう違うか、考えて見てください。
野望のある人、いつでもいろんなことで得意になる人は、阿羅漢になることはできません。それらは反対に軽減しなければならない物です。つまり何かになることを野望したり、得意になったりしてはいけません。それらの野望や満足を少しずつ減らせば、知らず知らないうちに少しずつ自分を阿羅漢に近づかせることもできます。
これは、阿羅漢であることとは、期待や野望を壊滅させること、あるいは煩悩の望みや期待を攻撃して徐々に減らし、すべての物には欲しがる値打ちはない、と見る知性のある人になることと指摘して見せています。知性があるので物事を道理で行ないます。
知性は、成すべきか、なぜ成すべきか、どう成すべきかを教えてくれるので、苦はありません。だから知性に従って行動してください。私たちは何もしないということは不可能です。何かをしなければなりません。するべきことを何でもしなければなりません。
それを行なう時、苦がないようにするか、苦になるようにするかという問題があります。苦がないようにするには、知性でしなければなりません。煩悩や野望でしなください。苦があるようにしたいなら、煩悩と欲望、あるいは期待でしてください。何かちょっとするだけでも、野望や煩悩や欲望でしたと感じれば、確実に苦があります。
しかし煩悩や欲望を介入させず、知性ですれば、どんなにしても苦はありません。知性は苦がないようにする仕方を知っているからです。これを「阿羅漢の知性はこのよう」と言います。つまり何も欲しがらないで、あるいは苦しまないで生きられるようにし、渇望しないで、あるいは苦しまずに非常に多くのいろんなことをさせます。だから苦はまったくありません。
こういうのを本物の知性と言います。何をしても欲望をコントロールでき、苦になるほど渇望しないので、いつでも欲望に勝っている人です。欲望に勝てば、苦に勝ったことでもあります。そして欲望と苦に勝てば、当然この世界と他の世界の、すべての物に勝ったということです。欲望がないので、すべての意味で勝者ということです。
欲望に勝つことができ、そして完璧な知性があるからです。これは、何かをする時苦がないようにするには、、ふさわしい十分な知性でしなければならず、それに対する欲望や煩悩でしてはいけないと明白に指摘しています。
中には、欲望や煩悩でしなければ楽しくない、と考える人がいるかも知れません。これには二つの違う意味があります。つまり煩悩や欲望がある人の楽しさと、知性のある人の楽しさです。煩悩や欲望がある人の楽しさは、頭を抱え込んで涙を流さなければなりません。いつものことで、いい気味です。
しかし知性ですればそうなりません。笑うことも泣くこともなく、常に勝ち、何でも上手く行き、成功します。泣いたり笑ったりしないで目的を成功させる人です。このような状態を智慧のある人の楽しさと言います。
「笑う」と言うなら、内心で冷ややかに笑っています。もう一つの「泣くこと」はありません。なぜなら泣くという行動は、望みが叶わないことから生じるので、初めから望まなければ、望み通りにならないことがないので、泣くこと、あるいは泣かなければならないこともありません。だから泣きません。あるのは笑いだけです。
しかし愚かな人のような大笑いではありません。愚かな人が思い通りになって大笑いするのは、泣くことと表裏一体で、それは欲望なので疲れます。だからそれも愚かに泣くことの一種です。つまり思い通りになって笑うのは、愚かに泣くことの一種だからです。要するに心を焼き炙ることばかり、苦ばかりです。
知性があり、そうさせる煩悩や欲望がなければ、本当に笑えます。心から笑えます。すべての物はその物自体の成り行きになるので、自分をどうこうできないと笑います。それらが自分を苦しめることはできません。それがどうなのかが見え、本当にそうなるので、予想が当たるのでそれを嘲笑します。そして最終的に、煩悩や欲望が私たちを苦しめて泣かせることはできないので、私たちはそれを嘲笑します。
このような笑いは、何かが自分の欲望どおりになって大笑いする笑いとは大違いです。その種の笑いは煩悩や欲望のある人の物で、必ず渇望があるので、望みが叶った時笑います。
しかしどんなに期待どおりになっても、すべての物は原因と縁によって経過するので、手に入れた物に対してまだ野望があれば、手に入れた物に愛着していれば、変わってほしくなければ、いずれは必ず泣かなければなりません。最後には泣かなければなりません。すべての物は変化するからです。
あるいは、すべての物は期待したようにならないからです。愛せば愛すほど望み、自分の望みどおりになって欲しいと思いますが、そう思えば思うほど望みどおりにならなくなります。多くを望みすぎるからです。望みが小さければ、もしかしたら期待どおりになることがあるかもしれません。
しかしまったく望まなければ、失望はありません。だから泣かなくても好いこと、そして馬鹿笑いの類の笑いは必要もありません。泣くことと哄笑することは表裏一体、同じです。そして欲望のある人の物です。
一方勝者である完璧な知性のある人には、二種類の笑いがあるだけです。期待したようにならなかった時には「そんなものだ。自然の成り行きだ」と嘲笑します。期待したようになった時も「これを渇望しているわけではない。愛着して渇望しているのではない」と嘲笑します。手に入れてもいいし、手に入らなくてもいい。この世界で暮らすのに便利なだけと捉えます。
だから二通りの嘲笑があります。つまり期待どおりになった時も、期待しないようになった時も、苦はまったくありません。このような人をすべてに勝った人と言います。その人を焦燥させる物、怒りで苦しくさせる物は何一つありません。人類の最高に賢い方法と言えます。技術と捉えるなら、技術の頂点です。技術を好むすべての人々が知らなければならない、人類の最高の技術は、すべての苦に勝つことができる技術です。
要するにどんなタイプの人も、真実を掴む人も、手法と捉える人も、単なる技術と捉える人も、必ず仏教の話の経過になります。つまり人間を阿羅漢にするタンマ、欲望を越させる、すべての苦の上にいさせるタンマの話です。人間が知って実行するべき数ある話の中で、これ以上に崇高で素晴らしい話はなく、私たちを、すべての苦の上にいさせる話です。
だから阿羅漢について話すこと、あるいは今日のように阿羅漢を記念した行事では、すべての物に勝って、泣かせる物も、笑わせる物もなくなるようになると思わなければなりません。しかし嘲笑する知性はあり、もう一つの笑いである、知性で内心で嘲笑します。知性のある人特有の楽しさがあります。涙を流さなければならない人のように、あるいは腹が引きつるほど笑う、泣くのと同じくらい疲れる楽しさである必要はありません。
阿羅漢について思い巡らすなら、最高の人という言葉を捉えるだけでなく、みなさんがそのようにならなければいけない、つまり苦の上に行かなければならないと考えてください。すべてに勝って、心を苦しめ、怒らせる物、あるいは激怒させる物が、何もないようにしなければなりません。それが阿羅漢を偲ぶこととして、あるいは今日のような阿羅漢を祭る記念行事としてふさわしいです。
あるいは阿羅漢の徳行を唱えたり唱和したりする時にも、心では、純潔な心、明るく澄んで穏やかでイライラさせる物が何もない心について思うべきです。それでこそみなさんにとって十分に正しいマーカブーチャーの日と言うことができます。そうでなければ、働く人の休日、あるいは指をしゃぶっている子供も喜ぶ学校の休日です。学校が休むのは、正しいマーカブーチャーではありません。
正しいマーカブーチャーにするには、仕事や学校を休みにするだけでなく、阿羅漢の話を聞いて、心を明るく澄みきった心にしなければなりません。そしてできるだけ自分の心を阿羅漢の心に近づける努力をします。しかし、煩悩や欲望による野望でするのではありません。俺は阿羅漢になる、というのではありません。そうすればするほどなれないからです。
しかし注意深く集中して常自覚をもち、欲望や煩悩に覆われないようにします。そうできれば、心はすぐに阿羅漢の心のようになります。永続的、あるいは厳格にではなくても、ほんの一時的でも、あるいは一日だけ、一晩だけでも最高に素晴らしいです。このように一晩一日、人間が得られる最高に素晴らしい物を得てはいかがでしょう。
通常心は欲情でカッカしたり、イライラしたり、不安や混乱で転げ回り、駈け回って、一年中静かに落ち着いていられません。だからやってみるべきではないでしょうか。人間が得るべき最高の物を知るために、一日だけ、一晩だけでも沈着冷静になってはいかがでしょう。
これは赤字にもならないし、損もしません。休息という面から考えれば最高の休息で、勉強という面から考えれば最高の勉強で、善という面から考えればすべての善の上にある善です。
つまり、今日のように時間やいろんな物を犠牲にして、自分の心と体と言葉を阿羅漢の範囲内にいさせます。誰にとっても最高に素晴らしいことです。まだ低いレベルの煩悩が厚い人にとっても、煩悩を苦しめること、少なくても、それは煩悩の毒を消す方法という知識になるからです。使い方を知っているので、煩悩が増長した時に、自分の煩悩に合った使い方ができます。何も知らないよりマシです。
いずれにしても、それほど苦がないことは保証します。そしてほとんどの人のように、自殺をするほど愚かに迷うことはありません。これが初等の低級な人、又は最低の俗人にもあるかもしれない、阿羅漢に関する話の功徳です。
最高に俗人でも利益が得られるので、低俗さの少ない俗人ならもっと、このようになりたいと望みます。つまり人間が得るべき最高の物に到達するように、更に自分を向上させます。
だからみなさん、今日、自分の心を可能な限り阿羅漢に近づけることで、一年に一度だけ阿羅漢を偲ぶ日であるマーカブーチャーの儀式とすることに、自信と確信を持ってください。特に阿羅漢と限定しているのは、今日だけです。
今日は今日の祭り方にしたいと思います。これ以上に意味として正しく良いものはありません。つまり阿羅漢の意味にぴったりです。自分の心を可能な限り阿羅漢の心のようにします。
子供の時から、マーカブーチャーの日は欲張りや怒りや迷いを抑えて、それらが心に生じないようにしようと決意しなければなりません。それらが心に生じたら、自分の智慧でできるだけ回避し、消滅させなければなりません。そうすれば小さな子供でも、風俗習慣の儀式以外に何も知らない老人より、正しく阿羅漢を祭ったと言われます。
その（ような老人の）儀式は、何らかの儀式の目的で人物に執着することでしかなく、真実、つまり多くの阿羅漢のように、滅苦に到達するよう発展させる物ではありません。しかし儀式を辞めてしまえば、心を深く埋め込まなければ、真実を言うことができます。真実を言うとは、悪や煩悩や苦を、必ず追い出す決意をすることです。それが正しい理解です。
経典で聞いているように、大人や年寄りの阿羅漢ばかりでなく、子供の阿羅漢もいました。年齢に関係ありません。数は非常に少ないですが、いることはいます。だから阿羅漢であることは、年齢でも、時代や場所でもなく、智慧の問題です。
教育としつけが十分あり、資質が十分あり、それらを理解できれば、時代と年齢に関わらず阿羅漢になることができます。阿羅漢であることは、本気で決意した人には不可能ではない、あるいは阿羅漢の話は人間にできないことではないと、指摘して明らかに見せています。
みなさん、誰でも多少は、適正な興味をもって実践を受け入れるべきです。いずれにしても、すべての人間に苦があるので、それぞれの知性に応じて、自分の苦を軽減するよう努めなければならないからです。通常人は、誰でも善や崇高なこと、素晴らしいことが好きなので、知識や善や、崇高で素晴らしいことを得ることは、何も損はありません。
素晴らしい高さはどのようか、どこまでかを教え、自分がどれだけ、どこまで進められるかは、自分の知性にふさわしい、人間が得るべき最善の物を、それだけ得ることです。
ぼんやりして、愚かになり、これについて思わないでください。そして思いっきり煩悩に引きずられないでください。それはすべて、苦や憂鬱以外の何物でもありません。純潔、明るさ、穏やかさにはなり得ません。それは極当たり前で、放っておけば自然にそうなり、放っておけばおくほどそうなるので、不潔で、闇で、欲望でカッカして、手の施しようがなくなって自殺するしかありません。これは珍しいことではありません。誰がいつその気になるか分かりません。
しかしすべての煩悩に勝って、自分自身を純潔で明るく、穏やかな場所に置くのは、非常に高い技術で、体と言葉と心の能力でしなければなりません。資質として賢さ、注意深さ、心の崇高さなどがあり、低級なことを望まないで発展を願い、負けることを望まないで勝つことを望む人ならできます。
みなさんが阿羅漢の足跡を追う実践をするために、今日一日を捧げ、一生懸命努力して自分の心を管理することを学び、タンマから利益を得られるよう願っています。それが、サンマーサンブッダが私たちにくれた物です。私たちも、自分の指導者としてブッダを尊敬すると表明し、仏教教団員と、そして仏教に出合ったと言われます。
私たちも仏教教団員としてふさわしい物を得るようにしなければなりません。そうすれば勝者になります。心を萎れさせないで、心を曇らせないで、心をイライラカッカさせないで、すべての物を嘲笑することができます。
あちこちにある餌に釣られて駈け回ることは、他に比較する物がないほど苦しい彷徨であり、何も誉めるべき物があるように見えません。歯車を蓮の華と勘違いすることの、どこが称賛すべきか、どこが満足すべきか、そしてそれによって苦しむことは、どこが爽快か、知性のある人は考えて見てください。
それらに踏みにじられないようにし、いつでも清潔で純潔な呼吸ができる人は、すべてに勝った人です。このようにすべて正常に生きられれば、たった一日しか生きられなくても、永劫と同じくらい非常に価値があると見なします。それ以上に善い物はなく、それ以上に崇高な物もないからです。
人間が得るべき最高の物に到達したのですから、それが一日か、あるいは何日かは問題ではありません。だから最高に精励努力しなければならないものと言えます。得た途端に死んだとしても善いです。それを得た、人間が得るべき最高の物を得たと呼ばれるのですから。
心の知識として、生老病死のすべてより上にいると感じるので、その人には生まれることも死ぬこともありません。それを知ることは、死の上にいる人になることであり、死を知らないことです。だからそれを知った、あるいは到達した次の瞬間に体が滅亡しても、それは滅亡することなく、永遠に存在します。心は滅尽に到達し、滅尽と一体になるので、当然永遠の心になります。
だから最高の物を得た人になり、死を知らない人になります。非常に関心を持たなければならない物です。今日のような日を、阿羅漢の重要な日と決めたこと、いろんなことを我慢し、犠牲にしてここにお集まりになり、神聖で崇高な儀式を行なったことにふさわしいです。
どうかみなさん、心を正しくし、それに到達するようにしてください。本当は、犠牲にした物より遥かに利益があります。つまり最高に善い物を得ます。少なくとも一晩、一日は確実です。少しでも長くそれを維持できれば、それだけその人にとって良いことです。しかしいずれにしても、誰でもこの日この晩は、最善を尽くすべきです。
述べてきたことは、阿羅漢とはどういうことか、つまりどう崇高か、どう純潔か、どう素晴らしいか、どのようにすべての苦より上にいるのかを明らかに見せています。そして阿羅漢であることは、まだ阿羅漢でない私たちとどう関係があるかも教えています。聞いて理解ができる人は、関係以上の関係があると、明確に分かると思います。
例えば、正反対の物を、非常に求めるようなもので、火に炙られている人にとっては、火を消す水が最も必要な物です。火に炙られていない人は水を必要としませんが、火に焼かれている人にとっては非常に必用です。だから火で焼かれたら、火の正反対である水が必要なように、苦があるなら滅苦が必要です。
阿羅漢の話は直接滅苦の話なので、みなさんにとって必用な話です。阿羅漢に溺れている人は幸福の代わりに苦を掴みます。あるいは苦を誤解している人は、この真実を有益に使うことができません。彼らは先ず苦と滅苦を正しく理解しなければなりません。
しかしいずれにしても、彼らは今苦があっても、まだその苦に溺れていても、その人が阿羅漢の道に入ることができれば、耳目が開き、苦を正しく知ることができます。苦に関わる愚かさが消え、いつか確実に苦を消滅させることができます。だから阿羅漢の話は誰にとっても必要な話と言うことができます。
人間より上の天人、人間より下の地獄の生き物や畜生たちも、すべての生き物は、自分の苦を根絶させるためにタンマを求めます。どうぞみなさん、不注意にならないでください。これらは私たちが欲しがるべき物ではないと誤解しないでください。本当は、すべての生き物が自分の苦を軽減させるために知るべき、理解すべき、唯一の物です。
すべての人は本当に苦があるので、これらの知識は、今日使わなくても明日は使わなければならないので、知っていて損はありません。今日全部使わなくても、明日は全部使わなければなりません。しかし今日勉強して、復習して準備しておかなければ、後で使うことができません。短い時間で簡単に理解できないので、何日も何ヶ月も勉強して復習しておかなければ、熟知できません。
阿羅漢の方たちの歴史で明らかなように、みなそれなりに長い時間を掛けているのに、みなさんが十分な時間を必要としないことはありません。だからそれらを聞くどんな機会にも、あるいは毎回、毎日、学ぶことができます。みなさんの全員が強い決意で学び、実践してください。利益になることばかりで、損はありません。みなさんのどんな困苦や困難、混乱でも、いつでも抑えることができます。
阿羅漢にするタンマはどのようか、そして凡夫であるみなさんとどう関わりがあるかを説明しました。後は、これからみなさんはこのタンマをどう実践実行し、どう行動するかだけです。これは、将来苦を絶滅させる準備です。そしてみなさんが揃って企画したマーカブーチャーの日に因んで、阿羅漢を偲ぶため、阿羅漢を崇拝する行事です。
今日の行動、今後の行動、そして一生の行動は、疑うまでもなく滅苦になります。時間になりましたので説教を終わらせていただきます。
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