プッタタートは死なない

 

プッタタートは生きている 死ぬことはない

たとえこの体が滅び 声を聞くことがなくても

生きている体、逝く体、どちらでもない

それはただ 時と共に変わっていくもの

 

プッタタートは生きつづける 死ぬことはない

ひょっとしたら 宗教の伴侶として

かたときも休まず ブッダの命にしたがい

身も心も捧げて奉仕した ブッダのしもべらしく

 

プッタタートは生きている 死ぬことはない

かつてより残しておいた「タンマコート」によって

ひと時も休まず 人間同胞に奉仕する

おお友よ、見えるだろうか 何も死んではいない

 

私が死んで体は永眠しても、

「弛んではいけない」と説き続けたように

友の耳元で命じる かすかな声がする。

だから私はまだ 生きているのと変わりない。

 

タンマの体はまだ死なずに、

甦って皆さんの円座に加わり、

何か指摘することがあるように説教する

 

私がまだ死んでいないかのように、私に対して振舞えば、

当然さまざまな報いがある。

毎日対話する約束をしよう。放ってはいけない。

すべてを諦めて、死を超えることができる。

 

(註;諦めるとは、聖諦という言葉のように明らかにするという意味)

タンマコート=法を広める、宣伝する、という意味。

1972年から現在も発行され続けている「プッタタート比丘全集」。

 

 

 

 

 

      タンマを学ぶなら

 

タンマを学ぶなら、ガツついてはいけない

思っている以上に思想に飢えた餓鬼になる

哲学思想でまっ暗になるような学び方をしてはいけない

せっかく学びながら足跡を踏むこともなく、犬死にする

 

タンマを学ぶなら タンマらしく学ぼう

後もどりすることなく、大きな苦を捨てるために

現実にある苦を学べば、ますます足跡に近づき

確実にあるがままの真実が見える

 

眼、耳等々を学ぶことから始めよう

触れれば受蘊が生じ、欲望が駈けつけて

蛭の口のように欲しがる人になる

「知って欲望を滅すことで十分、としよう」

 

 

一握り

 

ブッダの一切智は、森全体の木の葉のよう

しかし一つかみだけ選りすぐって、教え導く

 

 

 

 

 

     道徳よもどれ

 

もどっておいで、道徳よもどれ

いま重大な危険が始まっている

地球上のあらゆる地域、すべての人々に

恐るべき破滅が懸念される

 

もどっておいで、道徳よもどれ

世界にとつぜん空劫がはじまった

物質に迷い、狂ったようになり、

疫病神の威力に酔い痴れている

 

もどっておいで、道徳よもどれ

あっという間に悪がはびこり、もう絶望的だ

急いでおもどり、力を連れて

何か起こる前に世界を守っておくれ

 

 

道徳が戻らなければ

 

道徳が戻らなければ、世界は破滅

人類は畜生よりも悪劣になる

食べることとセックと名誉におぼれ

涅槃をきらい

誰もかも強情で、心を抑えようとしない

 

犯罪は世界中でくりかえされ

まっ赤な血が流れ、飛び散る

狂ったように食い、狂ったように性を貪り

名誉にも適度を知らず、低劣極まりない

 

国を治めたい、世界を治めたいと揺れている

たれも他人を慈しむ人などいない

人々の中に道徳よもどれ

危機が訪れるその前に

 

 

 

 

 

 

     とじて、ふさいで、むすんで

 

とじて、目をとじて、余計なものは見ないで

時には盲人のふりが最高の善

なんにでも首を突っ込んで、知ることに夢中になれば

餅のように自分自身が焼き炙られる

 

ふさいで、耳をふさいで、聞き耳を立てないで

心を曇らせて悩ますこと

心をかき乱すくだらない話に

哀れむべきことよ 賢人の道ではない

 

むすんで、口をむすんで、無駄なことは喋らないで

口が臭って吐き気をもよおす

いつでも 終わりのない長話になる

もしも黙したままでいられるなら

それは金塊にもあたいしよう

 

 

あけて、あけて、あけて

 

あけて、目をあけて、タンマの光を見よ

夜が暗ければ、暗いほど良く見える

心が落ち着いていれば、いるほど簡単に見える

それが古くからの心眼の開け方

 

あけて、耳をあけて、タンマの声を聴け

昼も夜も世界中に鳴り響いている

何万年ものあいだ 朗々と聞こえている

それは至高の価値のある 空の音

 

あけて、口をあけて、タンマを語れ

一日中、くだらないことを喋らず

真実苦を滅す話だけをすれば

間もなく世界中の人々は 悲しみから脱す

 

 

 

 

    

 

        大きな罪深い罪

 

あの人よりいいと考えたら困ったもんだ、あんたは

それは、大きな罪の人よりいいというだけのこと

良く考えれば、自分自身は罪が深い

いつになったら罪が軽くなるか、考えてみなさい

 

あの人は左に入り浸り、自分は右に入り浸り

考えればどちらも同じように浸っている

たとえ左の方が悪くてみっともなくても

右が立派だとはいうことでは決してない

 

ただ悪人よりはいいというだけのこと

自分自身だってロクなものではない

いちいち左を嫌って右を愛す狂った心は

涅槃への旅から落伍する

 

 

長所だけを見る

 

その人に短所があっても  その人の問題

その人にある 長所だけを見なさい

世の中の役に立つことなど、見るべき点を

他人の短所を知ろうとしてはいけない

 

長所だけしかない人を求めて

無駄に探し歩いてはいけない

口髭のはえたカメを探しても無駄死にする

長所だけを見る訓練をすれば、真の徳になる

 

 

 

 

 

人間それともヒト

 

人間になるも可なり

輝く羽の善がある孔雀のように高い心があれば

低俗な理解も可なり

しかしただのヒトならば、生まれてきた甲斐がない

 

清潔な心、明るい心、穏やかな心

そのすべてがあれば人間と呼ぼう

つねに正しい言葉と正しい行動

昼も夜も喜悦に満ちて喜ばしいかぎり

 

汚い心、闇、そして苛立ち

そんな人は亡霊と呼ぶしかない

誤った言葉と誤った行動

すべてにルーズで自ら破滅をまねく

 

考えてごらん そこまで落ちたくないなら

急いでたゆまず努力をすれば

生きているうちに 心を高めることができる

それでこそ生まれた意味がある

ぐずぐずしていてはならない

 

 

    正しいもの

    本物

    善いもの

    美しいものは

     

 

 

自分を自分の拠り所にする仕方と、

機会を与えることが本当の法施

 

 

 

 

苦や問題がないよう願うなら、

心に自分があってはならない

 

 

 

 

よく見れば得ることだけ

失うものはない

 

 

 

ちょうど良くする方法

 

怖がってばかりいれば、何も正しくできない

おまけに鼻面を引っ張って転落させる人がいる

度胸がありすぎれば気違いじみて、罪を犯す

急いでちょうど良い塩梅にすることを知りなさい

 

水牛の角の間にいるなら

死が近づけば近づくほど、すべての門で調べることを知り

弱まることはなく、

仕事は周到で完璧になる

 

子供のように小さな体の人は、脅されて

水と、周囲の風を見なければならず

大きな体の人は、あらゆる立場、状況で儲けを掻き集める

(愚かな人も学者も、急いで考えてみて

ちょうど良い塩梅に考えを調節しよう

 

 

 

 

 

 

     カンマの上にいる   

 

カンマの上にいるとは、

何をするにも大小のカンマでせず

憂鬱な心でせず

古いカンマの結果を受け取っても、

愚かに自分のものと見ない

 

自然の、どこにでもある純白なものとだけ見

原因と縁が輪廻の輪を作り

結果を生じさせ、また原因になる

観察してご覧

 

その結果、何でも「自分」

あるいは「自分のもの」と捉えないことも残らず消える

行動する人を「俺」と捉えないどんな行動も

カンマの上にいること

 

 

 

入るか出るか

 

心が世界に入って惑溺すれば

不潔で暗い心

出てくれば自由で 美しく可愛いい心

良く見てご覧

 

 

 

 

 

 

    死に勝つ道 

 

死を望んでみれば、心は言いようもなく愉快、

友よ、骨まで寒くなる必要はない

心がわくわくして死なずに暮らせ

死の害悪は見えない

 

死を望めば、更に愉快で

問題は何もない

生きるも、死ぬも変わりはなく

老いも病も待っていない

 

死ぬ前に死ねば、愉快爽快の極み

それは「俺」を残らず引き裂くこと

「俺のもの」も生じられないので、十分素晴らしく

その時死ぬ人は誰もいない

 

 

 

 

   サンカーラの消滅ガーター

 

すべての作られたものは無常だなあ

それは義務によって生じ

サンカーラがあれば

状況に応じて消滅するのは当たり前

長くは存在しない

それはこのようだ

 

このサンカーラの固まりも同じで

今日終わるにちがいない

生まれる人も死ぬ人も誰もいない

あるのは自然に消滅する本当のサンカーラだけ

 

サンカーラの消滅による静かさ

それは涅槃である寂滅、サンカーラの終り

この名形は今日消滅し

二度と戻る種のない行動

 

 

 

あなたにもある瞬間

 

 

手に入れなくても良い

成らなくても良い

死ななくても良い

乾きがない

疑わない

心配しない

それらの味よりも良素晴らしい、

純粋に平和な味は何だろう

 

動揺しないのは 善いか悪いか

自分がそれを手に入れるかどうか確実でない

複雑な望みを恋慕しない、

 

空っぽの味は、その間中

来世は阿羅漢といわれる最高の味に満足する

良く見れば、あなたにもそんな時がある

しかし良く見ないから あなたにはない

 

 

 

この命とは何

 

この命とは何?

奇妙な自然の狂気が、

体と心のダートゥを、

本能レベルの味の煙のダートゥに作り変えて流した

私はそう考える

 

この命はなぜある?

狂気が終わってサンカーラが終わり

体が静まって 心が静まって

流れの終焉、煙がない涅槃になるため

私はそう考える

 

この命をどうする?

八つを編んだ道で

味の狂気を止め、そして減らし

毎日夜、正しく、正しい流れにしなければならない

私はそう信じる

 

 

    パッテーカラット

 

過ぎたものは去らせ、追ってはいけない

来ないものに頼らず、期待しない

期待する日を通過し、

先のこと、

あるいはまだ来ないことを望まない

 

選ぶ人は

現在、あれこれがハッキリ、明らかに見え、

それまでのように噛みついて動揺しない

知っているので、更に前進させる

 

今日は、急いで義務を行う

死ぬ日が明日でも、誰も知ることはできない

死、あるいは死の大軍に、

引き払うよう言うことはできないから

 

このように暮らして回転する努力をする人は

昼も夜も非常に勤勉

それが、ブッダが言われる智者、善人である

パッテーカラッタの人

 

 

 

死ぬ前の死


死ぬ時の死は、当然亡霊になる
上手く死ねなければ悪霊になる
棺桶に入るためだけに

なぜ死ぬのだ
勇壮な死は、死ぬ前の死

死ぬ前の死は、亡霊になることでなく

消滅しないものになること
本当は、誰も生まれない意味がある

死ぬことがない死


この言葉は、

言をはぐらかすように

行きつ戻りつして、疑念を誘う
だがしかし

これは変わることのない真実
この意味が解ける人に、死は無い

 

 

 

 

  スアンモークはどこにある

 

スアンモークはどこにある

心が無垢な人がいる所はどこでも

スアンモークはそこにある

 

モークである心

それは煩悩がなく

汚れのない心