急いで呼び戻さなければならないタンマ

                                   

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 タンマにご関心がある善男善女のみなさん。今日の法話は、「現代社会に急いで呼び戻さなければならないタンマ」と題してお話します。これは私が「現代社会にはタンマが欠けている。破滅があるのはタンマに欠けているから。精神面の破滅があるのは、心にタンマがないから」と主張しているという意味です。

精神面の破滅が絶えず続けば、体あるいは物質面の破滅に、つまり世界の破滅になります。人間にタンマがなければ、何でも煩悩でするので、際限なく殺し合い、殺戮時代と呼ばれるようになれば、物質的にも世界は消滅します。つまり人間や世界が破壊されます。これが、タンマに欠けることの害です。私たちは急いでタンマを呼び戻さなければなりません。

 今日は、タンマが戻らなければならない理由についてお話します。しかしどう呼び戻すかは、非常に細かいので、別の機会にお話しすることにして、今日は呼び戻さなければならない理由についてお話します。しかし呼び戻す理由についてお話する前に、タンマが消えた原因について簡単にお話したいと思います。

 なぜタンマが世界から消えたのか観察する、あるいは理解するために、簡単に見ると、一項目は、今見ているように世界が物質面で発展したこと。これについてはほとんど説明する必要はありません。それらの発明が産業になるほど、魅惑的なものの発明が進歩し、世界には、人間を破滅させるものを製造する産業、つまり誘惑して肉体的な味に惑わせる産業があります。それが身勝手を塗り重ね、非常に身勝手になれば、いつでもみんなで世界を破壊できる煩悩があります。

 私たちは誘惑するもの、あるいは必要を超えたものがあるので、道徳面、心の面の衰退が世界に溢れています。これが、魅惑的なものの奴隷になってタンマを消滅させる原因です。

二項目。これから見なければならないことは、世界の人口が増え、道徳的に管理できないほど増えているので、道徳面が少ないことです。道徳的な教育としつけ、それも少ないからです。そして世界の人口が増えれば、ますます管理できなくなり、我慢する人、あるいは道徳で忍耐する人はいません。人々は道徳を捨てて、道徳を考えることなく自分の利益を取ります。これを、人が増えれば増えるほど不吉なことが生じる、と言います。

 これに関してはブッダも同じように『サンガの人数が少ないうちは不吉はない。僧が増えてサンガが大きくなれば、不吉が始まる』と言っています。不吉を普通のタイ語で言えば、忌わしいこと、不祥事という意味です。人が少ない時はありません。あるいは起きにくいですが、人数が増えると身勝手な人が増えるので、管理できなくなって不祥事が起きます。

 人数がぎっしり増えた時に不祥事がサンガに起こると、こうブッダは言っています。私たちも、世界の人口が増えると、管理できないので道徳に欠けるという教えを持つことができます。

 三項目。別の角度から見ると、世界にあるすべての種類のマスコミは、煩悩を支援する報道と言うことができます。道徳を持たせるよう支援しないで、私たちの祖父母の時代とは比較にならないほど、どんどん煩悩を増やすような報道をしています。祖父母の時代には、煩悩を支援する情報はありませんでした。このように見てください。

 四項目。世界の教育制度に注目すると、これについては以前のこの時間に、世界の教育制度は、シッポのない犬の制度と述べて明らかになっています。それはシッポのない犬と同じで、私たちの教育には、道徳教育が含まれてなく、勉強させるのは本と職業だけで、人は金持ちになることに長け、金持ちになればなるほど身勝手でタンマがありません。

 教育は向きを変えて、経済に仕え、人間の煩悩、特に政治に仕えています。教育は仕えるものになり、経済や政治、あるいは煩悩に仕え、昔のようにタンマや道徳や人道に仕えません。教育は、人を道徳がある人に、自分で自分を抑える人にしないので、これらの人の心は破滅します。つまり道徳がないので、心の破滅、精神の破滅と言います。

 心が破滅し精神が破滅すれば、この段階まできたら怖がらなくてもいいです。もうすぐ物質面も、体つまり地球も破滅します。人間の心にタンマがなければ、地球が破滅します。道徳のない人間は、地球を残らず破滅させます。

 要するに、このようにタンマが無くなり、道徳が無くなったのには原因があります。世界に心の破滅、あるいは精神の破滅が増えるのは非常に恐ろしいことで、みんなでタンマを呼び戻さなければならない、急いでタンマを呼び戻さなければならない、極めて憂慮すべきです。これが今日の話の目的で、「現代社会に急いで呼び戻さなければならないタンマ」と言います。はっきり言えば、現代の世界のために、急いで呼び戻さなければならないものは、タンマです。

 

 タンマが無くなると、世界にどんな害があるでしょうか、今どんな悪があるか、どんな不吉なこと、不祥事があるを見てください。困難をもたらす危機で混乱し、穏やかな幸福は求められません。人は穏やかな幸福を得られず、社会には平和がありません。タンマがないことにはどんな害があるか、種類ごとに見て行きます。

 初めの項目は、私はこの世界を「緊張の世紀」と呼びたいと思います。世界は今、すべての人に強い緊張があります。仏歴で言えば二六世紀、西暦では二十世紀ですが、そのうちの七十年以上は緊張があり、現在は最高に緊張しています。あるいはこの二十二年から二十三年は、これほど緊張しています。緊張の世紀です。

 人間は貧困、飢餓、渇望、野望、恐怖、懸念で緊張し、緊張で暮らしています。心の大部分は恐怖で緊張し、どこにも犯罪が溢れ、安全でないと感じ、経済も搾取するので、冷や冷やハラハラしながら暮らしています。

 戦争の影響もたくさんあり、現在も宇宙ステーションの恐怖で緊張しています。そう思いませんか。人間はこのように緊張して、人間でなくなりそうです。これが、タンマがないことの害です。

 庶民も庶民なりに緊張し、責任がある国、あるいは政府は経済で緊張し、政治で緊張し、戦争で緊張します。政府と国民が対話できないのは、どれほどの緊張でしょうか。自分たちの政府を樹立するために、現在の政府を倒そうと決起します。これは、倒そうと考えている側も、守ろう、あるいは維持しようとする側も、どちらも緊張します。このように緊張があります。この他にもまだ自然の天候の問題が加わり、緊張します。

 二つ目は、精神病、神経症の世紀です。医師のレポートでも信じられないほど増えていることが分かります。一時間ごとに鎮静剤を飲まなければならない人もいます。私たちの祖父母には、こういうことはありませんでした。

 道徳の問題が生じても、彼らはすべて経済の問題と見て、解決できないと心の病気、神経の病気にしてしまい、経済が搾取するので神経の病気になったと言います。本当はそうではありません。それは道徳が欠けています。道徳があれは耐えられるので、神経の病気になりません。彼らはタンマという言葉の意味を完全に誤解していますが、経済という言葉の理解は、正しすぎます。良いことか狂っているか、考えて見てください。

 このような理由でタンマが消え、タンマを探して目薬にもできないと言います。目薬にするにはほんの少し、非常に僅かしか必要ではありませんが、それにも足りません。これを、タンマがないことの害と言います。精神病、神経症の世紀。この世界は精神病、神経症の世紀です。

 三つ目は、テクノロジーが進歩すればするほど、世界はタンマを必要とすると見ていただきたいと思います。タンマがなくなるほどテクノロジーが増大したのは、あるいはタンマが追いつかないのは、あるいはタンマがないのは、テクノロジーを管理するものがないからです。人間がは技術的な知識によって生産された物の奴隷になってしまいました。魅力的なものが増えれば増えるだけ、人は身勝手になり、経済の問題が増えます。

 今農民は、電気が来た地域の人はどこもかしこも、テレビやラジオの月賦の借金があります。電気が来る前は、農民はテレビを持っていませんでしたが、電気が来ると、農民の借金の問題が生じました。月賦で払ってテレビを見て、それで、心が安定せず浮つき、心にタンマがなくなり、働く意思がなくなり、物質的な喜びに溺れる人の性で、動揺してどんどん不安定になる以外に、どんな結果になるでしょうか。

 どこの集落にも電気が来るようなテクノロジーの進歩が、テレビや他の電気器具の代金の月賦で、借金をさせることを見てください。今は農民でも電気釜でご飯を炊きます。考えて見れば、これでバランスがとれるでしょうか。

 次に宇宙事業を見ると、宇宙へ行き大気圏外へ行くことは、平和に関してどんな結果があるでしょうか。核の事業や宇宙の事業は、平和に関してどんな結果があるか、見えません。まだ見えません。莫大なお金を費やします。そのお金でこの世界の貧しい人の、苦のある人の問題を解決する方が良いです。

 この種の事業の進歩は、危機、つまり複雑困難、苦や混乱を増やします。だから、テクノロジーが進歩すればするほど、タンマでテクノロジーの毒を管理しなければならないと言います。テクノロジーがこういう毒を作り出すので、テクノロジーを管理できる十分なタンマがなければなりません。良く観察して見てください。

 四つ目の害は、人口が増えて管理しきれないことです。述べたように、人口が増えれば増えるほど不吉なことが増えるのは、タンマによる受胎調節でなく、道徳の欠如を助長する物で調節するからです。若い青年や娘たちの鞄の中には、コンドームが入っています。これは、目的に合った使い方ではなく、道徳を促進しない方向、あるいは道徳を無くす方向の使い方で、それは道徳を無くすだけなので、受胎を管理できません。

 次に五つ目を見ると、道徳のない教育をすればするほど、ロクデナシが増えます。道徳が組み入れられていない教育をすれば、駆除しがたい堕落が増えるだけです。悪事を犯した人、あるいは泥棒や強盗を見ると、彼らは賢くなる教育を受けていて、そして管理する道徳がないので悪事を犯し、あるいは追放しにくい泥棒になりました。

 私たちの祖父母は野蛮人で勉強をしたことがありませんが、反対に穏やかに暮らしていました。たくさん勉強した私たちの方がたくさんの問題を抱え、野蛮人だった先祖よりも大変です。私たちは却って複雑困難で、あるいは勉強をしなかった時代の野蛮人よりも、道徳的に悪くて往生すると言います。

 私たちは、全員が大学へ行くようにしなくてもいいです。そうする必要はありません。タンマが十分でないのに、タンマを十分身につけさせないで、それで大学まで教育をするから問題が起こります。あるいは、そのレベルの教育を受けない時より、もっと緻密で巧妙に世界を破壊します。

だからタンマのない教育は本当の民主主義を生まず、掻き集める民主主義だけで、タンマによる民主主義、あるいはタンマである民主主義はありません。この世界に掻き集める民主主義しかなければ、手の長い人は掻き寄せます。それで世界が平和、あるいは幸福になるか考えて見てください。

 六つ目は、タンマがなければ何もできないということを見ます。国民にタンマがなければ、政府が善くなるはずがないので、治められません。国民に道徳がなければ、政府がどんなに素晴らしくても、政府の期待通りにならず、政府の闘争相手になります。

 たとえば上司一人だけが善くても、社長だけが善くても、総理大臣だけが善くても、他の大臣たちにタンマがなければ、何もできません。したいことができません。あるいは、内閣全員が善くてタンマがあっても、下の人にタンマがなければ、それらの人が任せられる任務の実践は、成功するはずがありません。あるいは局長まで全員が善くても、それ以下が善くなかったら何もできません。あるいは県知事、群長までみんな善くても、庶民にタンマがなく、あるのは身勝手だけなら、目的に合った義務は行なえません。

 これです。本当の基礎に、タンマがなければなりません。国民にタンマがあれば、国を平和にすることができます。

 次にお話してしまいたいのですが、「つい最近まで人々はタンマについて話さなかったけれど暮らしていられた」、あるいは「何十年も前は、タンマのことを話さなかったけれど暮らしていられた」と、反論する人がいます。これは最高に真実です。何年も前、何十年も前は、タンマについてまったく話すことはありませんでしたが、国はやっていけました。なぜでしょうか。それは庶民の血の中に、伝統習慣の中にタンマがあったからです。

 タンマのある人は、自分の影のようにタンマがありました。タンマのある家系に生まれた人は、懐妊する前から親にタンマがあるので、子供は胎内にいる時からタンマがあるのと同じで、大きくなると善い手本を見るので、罪を恐れることを知り、徳を行なう勇気を知りました。

現代の若者には、徳という言葉はなく、罪という言葉もありません。彼らは徳と捉えず、罪と捉えません。彼らが捉えるのは得ることである「得」だけです。昔の若者は、「それは罪だ」と忠告されるとびっくりし、そして止めました。現代の若者に罪だと忠告すると、舌を出します。彼らの血の中には、このようにタンマがありません。

 昔は誰にでもタンマがあったので、タンマについて話す必要がありませんでした。庶民にタンマがあり、国の期待を受け止めたので、タンマについて叫ばなくてもやっていけました。今はタンマがないので、反対になりました。

 今は、「親はその子に恩がある」と言います。知らないなら、知ってしまってください。本当の話です。娘が非常に名誉ある留学を終えて帰国して家に戻ると、子つまり自分自身が、親にとって恩人のようにしました。両親はどうにもならないと嘆きます。彼女は両親に対して、「私は親にとって恩がある、親は私の恩を知らない」と怒鳴るそうです。道徳はこのように逆さになりました。

 昔の人は、血の中に、日常行動の中にタンマがあり道徳がありましたが、現代はありません。だからこのようにあべこべです。

 現代は、国中が愛し合って平和になるための、人々の心の基礎として、「タンマよ戻っておいで、タンマよ戻っておいで」と叫ばなければならないほど、話さなければならないと言います。

 これが、タンマがないことの害です。緊張の世紀であり、精神病神経症の世紀であり、科学技術が人類を破壊し、道徳を破壊した世紀であり、タンマに欠けた教育の世紀なので、勉強すればするほど、賢いロクデナシになり、たくさん勉強すると非常に賢くなるので、頭がいいロクデナシになるので、タンマのない人を管理できません。これが凶悪な害です。

 ですから、急いでタンマを呼び戻さなくてはならない時代になったと認めてください。現代の世界は、急いでタンマを呼び戻さなければならない状況にあります。みんなで世界を救いましょう。この世界は、精神面のほとんど半分は破滅しました。そしてそれが物質的破滅、あるいは体の破滅になって現れ、間もなく殺戮時代になります。

 だからみなさん、心を公正にして、タンマにして、身贔屓にならずに、こういう事実があるかどうか、こういう当面の問題があるかどうかを見てください。賛同するなら力を合わせて、みんなで急いで、タンマを現代世界に、世界中に呼び戻します。

 タイ人として、仏教教団員として、住む場所であるタイという国があるなら、他の国よりも良くしなければなりません。私たちには国教である仏教があり、タンマがあり、堅固な心の先祖がいて、微笑がタイ人の象徴になるくらい、国民をタンマのある人にしました。何世紀もの間タンマがあったので、慈悲で呼吸をし、すべての生き物は生老病死の苦の友として他人を愛していました。

 柔和な顔や目、しとやかな行動、体、言葉として現れるまで、慈悲の心を育ててください。そうすれば、「タイ人は大人しくて可愛いらしい象のよう」と言います。タンマのない人たちは、酒に酔った猿のようです。タイの音楽はしとやかに歩く象のようで、外国の音楽は酒に酔った猿のようです。これがタイの独自性があるものと、タイの独自性がないものの違いです。タイのものにはタンマがなければなりません。タイの独自性は、タンマがあることです。

 遅くなりすぎないうちに、肉体的にも精神的にも破滅する前に、どうぞ急いでタンマを、仏教教団員の国であるタイに呼び戻し、精神的にも物質的にも危機を脱してください。そうすれば人間に生まれたこと、仏教に出合ったこと、仏教教団員であることが無駄になりません。

 「現代社会に急いで呼び戻さなければならないタンマ」と、繰り返えさせていただきます。どうやって呼び戻すかは、また機会があったら後でお話します。今日は時間になりましたので、これで終わらせていただきます。


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