前書き





 この「学生のためのブッダの伝記」は、世界的に知られた仏教学者シーラチャーラ比丘(J.F.Mckechnie)が、スリランカの子供たちのために書いた本を修正編集したものです。修正しなければならなかった理由は、巻末で述べます。タイ国内の青少年に長く読み継がれるよう、欠陥を補うために修正を加えました。

 海外の本を使わずに、なぜ法施会教書局が独自に書かないのかと言えば、この本を少し修正するだけで最適の本になり、私が手本なしで書くよりずっと良いし、たとえ手本を見て書いても、これ以上の出来栄えにはならないので、この素晴らしい本を著わした著者に敬意を感じるからです。

 ここでこの著者の素晴らしさを伝え、敬意を表したいと思い、同時に、故シーラチャーラ比丘の名誉を長く称えるために、翻訳、修正、編集という善を捧げました。

 本書の中には情緒に訴える内容や語句が混入していることは認めますが、それは青少年を感化するために良かれとしたことであり、責めることはできません。

 読者が戸惑う話、たとえば街中で死体を担いで行く場面や、簡単な火葬等があるかも知れませんが、インドへ行ったことのある人なら、ブッダの時代と言わず、現在でも見られることだと言うでしょう。

 ビンドーラの鉢が投げて割られた話は、ブッダの時代には通常陶器の鉢が使われていたことを知らない人は、鉄の鉢しか見たことがないと考えなしに反論するかもしれません。ですから読者のみなさん、出し抜けに判断する前に、それらのことについて十分学んでください。

 項目ごとに分けて番号を振ったのは新しい考えです。憶えたり学んだり引用する時に、頁を言うよりも項目番号を言う方が便利だからです。

 もう一つここで申し上げておかなければならないのは、本書の製作に当たって、アピプンヨー比丘に多大なご協力を頂いたことです。推敲の段階で間違いを指摘していただき、わざわざ巻末の索引を作っていただいたことに感謝いたします。

 最後に法施会は、本書が、タイ国内に若い人向けの本(ブッダの伝記)がないという問題の解決になることを願っています。


法施会教書局
1954年8月12日


ホームページへ 次へ